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2011/06/23

(シニアネット)『おいおい』 第1025号

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 シニアネット『おいおい』    第1025号  (2011年06月23日)
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━━━━━CONTENTS━━━━━━━━ 
巻頭俳句  文挟夫佐恵は東京都生まれ。俳人協会の名誉会員。  
社説要約 国会の会期延長問題(菅総理よ、退任時期を明確にしたら)
身辺雑記  堺市の「非核平和都市宣言」。本当の「非核と平和」とは何か。
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━━ 巻頭俳句 ━━━━━━━━━━━

艦といふ大きな棺沖縄忌    文挟夫佐恵(1914- )

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 23日は沖縄忌(慰霊の日)。昭和20年(1945)の夏、沖縄では日米最後の地上戦が行われた。正規軍より住民の犠牲が多い壮絶な戦闘で、島民は9万4千以上が亡くなった。沖縄軍司令長官が摩文仁岬で自決の日。20数万人の戦没者を追悼する。戦闘は終戦後の9月7日まで散発的に続いた。
 「艦」とは戦艦「大和」のこと。4月7日に連合艦隊最期の戦艦の沈没。海上特攻「天1号作戦」で沖縄の米軍を攻撃するために,9隻の軍艦を従えて片道燃料で出撃した。米軍の艦載機386機の攻撃を受けて屋久島西方約250kmで沈没した。約3000の将兵が運命を共にした。戦艦が「大きな棺」である。
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┏━━映画『奇跡』━━━━━━━━━━
 「九州新幹線の1番列車がすれ違う時、奇跡が起きる。」の噂がこの映画の始まり。
大阪で結婚した夫婦が別れて、妻は兄を連れて鹿児島に。夫は弟を連れた福岡。それぞれ暮らす。
離婚した夫婦が一緒に家族で暮らすこと。「奇跡」を信じて、兄弟が仲間と熊本へ行く物語。「まえだ まえだ」の兄弟コンビが中心。周りを固める5人の子供の演技が素晴らしい。常に、走る子供たち。時間と空間を元気いっぱいに「走る」。
 「奇跡」は起こらず、子供たちはそれぞれ、「非日常」から「日常」に戻る。「奇跡」とはこなことなのか。3月12日の開通の日の前日に東日本大震災が起こった。タイトル「冒険」位である。

┏━━ 社説要約(朝日新聞)━━━━━
23日;(1)延長国会―さっさと懸案片づけよ
『この騒動は、後世の笑いぐさになる。日本の政治は、ここまで墜ちていたのか、と。結局、70日間の会期延長が決まった。東日本大震災への対応を急ぐのだから、国会に夏休みがないのは当たり前だ。だが、さらなる停滞と混迷へと突き進んでいるようにしか見えないのが実情だ。 首相は第2次補正予算案に、赤字国債の発行を認める特例公債法案、太陽光や風力などの普及を図る再生可能エネルギー特別措置法案といった懸案の処理に意欲を示している。しかし、首相がいつごろ辞めると言わない限り、与野党の泥仕合は続きそうだ。党執行部の説得を退けたのだから、首相は党内でも孤立を深めるだろう。それでも、内閣不信任案が否決されている以上、首相を引きずりおろすのは容易ではない。ここは、すべての国会議員が大胆に発想を変えたらどうか。「首相おろし」で与野党が協調できるのならば、首相が意欲を示す政策課題に取り組み、さっさと片づけてしまうのだ。進めるべきことをきちんと進める。それだけで、首相がとどまる理由を消していける。
 たとえば、特例公債法案をこのまま放置すれば、国は予算を執行できなくなる。そんな事態は野党も望むまい。成立を引き延ばして首相を追い込む戦術を改め、成立させるのだ。「資金繰り破綻」の恐れをなくし、首相の外堀も埋められるのだから、野党にとって一石二鳥ではないか。 そのために、民主党は子ども手当など歳出の見直しを急ぐ必要がある。国会を正常化させるために、与野党が速やかに汗をかくときなのだ。 震災の日の朝に閣議決定された再生エネ法案が、審議にすら入れないのもおかしい。自然エネルギーの普及には、与野党とも異論はない。だったら、早く合意点を見いだせばいい。 国会は仕事をしよう。それで局面を変えれば、首相は続投の大義名分を失う。 (743字)。

┏━━ 社説要約(読売新聞)━━━━━━━
 23日;(1)国会会期延長 首相延命策には付き合えない
『菅首相は、自らの延命によって政治空白が長引くことを自覚し、早急に首相の職を辞すべきだ。新しい体制を築く以外に政治再生への道はない。何のための延長なのか、首相退陣はどう絡むのか。それが明確ではないことの証左でもある。首相と民主党の岡田幹事長は、特例公債法案の成立や「新たな体制」下での第3次補正予算案の検討などを記した合意案をまとめ、自民、公明両党に提示した。だが、両党は「首相退陣時期があいまいだ」などとして、拒否した。この間のゴタゴタは、何も決められず、物事を動かせない菅政権を象徴しているかのようだ。菅首相は場当たり的な言動を繰り返してきた。
 電力会社に自然エネルギー買い取りを義務づける再生可能エネルギー特別措置法案の成立にこだわり始めたのも、その一つだ。法案は震災当日の午前中に閣議決定されており、震災対策関連ではない。経済界には、買い取り価格の上乗せで電力料金が値上がりし、日本企業の国際競争力が失われかねないとの懸念もある。賛否が分かれる法案をあえて持ち出したこと自体、延命策と見られても仕方がなかろう。政府・与党は、消費税率引き上げを柱とする「社会保障と税の一体改革案」に対する民主党内の反発を抑えられず、決定をズルズルと先送りしている。「政治生命を懸ける」と言明した菅首相が、自ら事態打開に動く気配はない。
 求心力を失った首相が居座る限り、官僚機構は動こうとせず、与党でさえまとまらない。非常時の今、貴重な国会日程を浪費してはなるまい。延長国会で与野党は、赤字国債の発行を可能にする特例公債法案をはじめ、二重ローン対策や原発賠償策を盛り込んだ第2次補正予算案の成立など最低限必要な政策の実現を急がねばならない。 本格的な復興対策となる第3次補正予算案は財源論議から逃げられない。新首相の下、新たな政治体制で編成するのが筋である。(769字)。

┏━━ 社説要約(日本経済新聞)━━━━━━━
23日;(1)延長国会で懸案処理し退陣へ道筋を
『延長国会では国政上の懸案の処理を急ぎ、菅直人首相の退陣に早く道筋をつけてほしい。今国会の延長幅がなかなか決まらなかった原因は、菅首相が退陣時期をいまだに明示していない事情が大きい。 民主党の岡田克也幹事長は会期延長の議決に先立ち、国会内で与野党幹事長・書記局長会談に臨んだ。岡田氏は延長国会の課題として(1)赤字国債発行法案(2)震災復旧策を盛る小型の今年度第2次補正予算案(3)再生エネルギー特別措置法案――を挙げ、第3次補正予算案は「新しい体制」で対応すると伝えた。 自民、公明両党は「首相の退陣が明確でない」として協力を拒んだ。首相の退陣時期を巡る与野党の攻防はさらに激化する見通しだ。
  延長国会を不毛な与野党対決の場にしないためには、首相が2次補正予算案や赤字国債発行法案の成立後に退陣する方向性をまず明確にする必要がある。震災からの本格復興に向けた第3次補正予算案は、次期政権の下で取り組むことが望ましい。すでに退陣を表明し、与党内の支持を失った菅首相がいつまでも政権の座にとどまれば、日本の国際的な地位低下をさらに加速させかねない。震災関連の対応はいずれも緊急性が高い。福島第1原子力発電所の事故を受けた電力不足は日本経済の大きな不安要因になっている。東京電力の賠償支援の組織新設を盛り込んだ原発賠償支援法案などの処理も急がなければならない。今国会の延長は決まったが、国政の停滞が長期化する懸念はむしろ強まっている。野党も国民のために何が必要かという原点に立ち返り、論戦を通じて政府・与党と一致点を見いだす努力が不可欠だ。(659字)。

┏━━ 社説要約(毎日新聞)━━━━━━━━━
23日;(1)70日延長 国会こそ復興の道歩め
『これを機に国会の再生を強く望む。バナナのたたき売りではあるまいし、与党の延長幅提示の混乱は目に余る。まして、与野党幹事長会談で合意したことが翌日にひっくり返るのでは信頼関係も生まれまい。ねじれ国会の下、今後の協議に懸念を残した。次に、延長後の展望だ。11年度予算の財源根拠となる特例公債法案、二重ローン対策など1次補正の漏れを盛り込んだ2次補正予算案、太陽光、風力、地熱などで発電した電力の全量買い取りを求める再生エネルギー法案をどうするか。2次補正については、被災地や原発に万全の対応ができるよう、与野党がさらに知恵をしぼるべきで、これには野党も反対していない。問題は残り2法案の扱いである。特例公債法案については、自民、公明両党がなお民主党公約の撤回を条件にしているが、そろそろ折り合いをつける時期ではないか。赤字財政の責任は、政治全体が引き受けるべきである。再生エネルギー法案については、目指すべき方向性は評価したいが、今後のエネルギー政策全体の中での位置付けや、政局が優先視されていることに対して、首相の明確な説明を求めたい。残された会期を新しい土俵にして、これら3懸案や新たに生じる立法要請に対し、接点を求め合意に向け努力を重ねてほしい。
 さて、菅首相の退陣時期である。これについては、21日夜の菅首相と岡田克也民主党幹事長との間で第3次補正予算案は「新しい体制で」対応することで一致した。岡田氏が野党との折衝で「新たな首相の下で」としていたのを菅首相が表現を変えさせた。新体制が何を意味するのか不明だ。退陣のめどを明示するよう、重ねて求める。貴重な70日間。今度こそ与野党が協力して被災地を正面から見据えた政治を作り上げてほしい。政争はもう見たくない。その意味では、国会こそ復興すべきだろう。でなければ、本当に国民から見捨てられる。(771字)。

┏━━ 社説要約(産経新聞) ━━━━━━━━━
23日;(2)70日会期延長 政治の機能不全極まれり
『民主党の政権担当能力の欠如をあらためて露呈した。できる限り早く、衆院解散・総選挙を行い、民主党政権の是非に対して、国民の審判を仰ぐべきである。それが難しいなら菅首相は一日も早く退陣して「新たな体制」を構築し、東日本大震災という国難を克服せねばならない。政治空白をこれ以上広げてはなるまい。問題は、菅首相の退陣時期が依然、はっきりしないことだ。首相は、大震災・原発事故対応での「一定のめど」を条件に掲げたが、具体的な時期の特定は避けてきた。会期延長では、赤字国債発行に必要な特例公債法案と第2次補正予算に加え、再生エネルギー特措法案という、「めど」とは関係のない課題を持ち出した。岡田克也幹事長が自民党の石原伸晃幹事長に、延長幅は50日で第3次補正を「新首相」の下で行う案を提示すると、退陣に直結することを嫌った首相が、曖昧な「新体制で」に書き直させた。
 結局、自民、公明両党は退陣時期が明確にならないので、70日延長には反対し、特例公債法案と2次補正成立に協力するとしていた合意は白紙となった。首相は自らの延命を優先させることで、予算や重要法案をめぐる与野党の協力関係を破壊しているのだ。
 今月初め、岡田氏は「幹事長の重要な仕事」として、「辞めるべき時期が来ても辞めないときは、最後に辞めてくださいと申し上げる」と語った。「首相と刺し違える」と述べていた他の党幹部らも決意を見せてほしかった。自民党は首相の退陣をめぐり民主党内の模様眺めだった。首相の下では人災が広がるなどとして、「一日も早い退陣」を求めていた対決姿勢はどこへいったのか。特例公債法案成立の前提となる民主党のばらまき政策の撤回をめぐっても、民自公3党の協議で明確な結論を求めなければならない。(727字)。

┏━━身 辺 雑 記━━━━━━━━━━
 「沖縄」を求めて、街の中をうろうろした。結局、旅行社のチラシにみた「沖縄」のみだ。堺市議会が、昭和58年(1983)に、「非核平和都市宣言」をしている。この担当部署が、「非核平和都市宣言」の担当窓口ではないかと。受付の女性があちこち探したが不明。やっと見つかる。「人権局人権部人権企画課」。非核と平和が人権局とは異様である。しかも、「人権企画課」で、数人の職員。これでは「宣言」が泣く。ビジョンもミッションの定義すらない。
現場は、「平和と人権資料館」。館内展示室の資料も実に貧弱である。「被曝(ひばく)」に関する「フクシマ」への応援について聞きたいと思った。人材も不足している様だ。頑張って下さいと激励して1階の玄関脇に出た。そこに6月20日の「世界難民の日」の展示に、東日本大震災の援助状況が報告されていた。「世界難民」を扱う部署が、進んでいる様だ。
「非核平和都市」の堺市がこのあり様に驚く。行政の矛盾を感じた。(400字)。

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2011/06/22

シニアネット 『おいおい』   第1024号

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シニアネット『おいおい』    第1024号  (2011年06月22日)
 
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━━━━━CONTENTS━━━━━━━━━━ 
巻頭俳句 鷲谷七菜子は大阪市生まれ。山口草堂に師事し、「南風」の名誉顧問。  
社説要約 IAEAの智慧を借れ(朝日・読売。毎日)。日本の技術を生かせ(日経)。スパコンの快
挙を復興に生かせ(産経)。
身辺雑記  映画は映画館で観よう。映画館へ足を運んで、映画を楽しみましょう。
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━━ 巻頭俳句 ━━━━━━━━━━━━━
 
山の木の葉音さやかや夏至の雨   鷲谷七菜子(呉れない

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 6月22日は夏至。1年中で昼間が一番長い日。北半球では太陽がもっとも高く輝くが、梅雨のた
め実際の日照時間は短い。しかし、西空に太陽がなかなか暮れない、この日ならではの黄昏が長い。
「至」とは至極の意味である。
ふれあう「山の木の葉音」。葉に注ぐ「夏至の雨」音。いつまでも暮れない「夏至」の明るさと雨音
が響き合う。
 作者の作風は影、光、闇、音という言葉を多用する。「可能な限り五感を働かせ、ものの存在の奥
を見据えようとする切なる思いを見る。遥かなものへの志向は七菜子俳句を読み解く鍵である。」(
『現代俳句大事典』より)。
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┏━━ 社説要約(朝日新聞)━━━━━━━━
22日;(1)IAEA会合―原発安全の監視役に
『原子力をめぐる国際社会の空気が変わった。そのことを痛感させるIAEAの閣僚級会合だ。閣僚
宣言は、原子力を選ぶ国がある一方で「原子力を使わないことにした国、段階的にやめるとした国も
あることを認識する」と明記した。 IAEAは、1953年の国連総会で当時のアイゼンハワー米大統領が
「平和のための原子力」を唱えたのがきっかけで57年に生まれた。核の番人であると同時に「平和利
用の促進」を旗印にする。原子力開発を促すよりも、その安全を「監視」することこそが今、求めら
れている。 一つには、脱原発の潮流が強まっても、すぐにすべての原発が止まるわけではないから
だ。動き続ける原発がある限り、大事故を防がなくてはならない。もう一つは、新興国や途上国に、
高まるエネルギー需要を満たすために原発建設をめざす国が少なくないことだ。 背景に、先進国側
の原子力ビジネスの思惑もある。新しく原発に手をのばす国の安全態勢づくりを支援しなくてはなら
ない。
 こうしたなかで、天野之弥事務局長は、IAEAの国際専門家チームが、世界中の原発の安全評価
に乗り出す考えを明らかにした。たとえば無作為に選んだ1割の原発について、原発の運転だけでは
なく、緊急時の対策から規制のあり方まで調べあげようという構想だ。この構想には、二つの面から
期待できる。まず、一律の基準をつくるだけでなく、原発ごとに調べることに意義がある。原発の安
全では、立地点にどんな災害リスクがあり、周辺にどれだけ多くの人々が住んでいるかといった自然
、社会条件も考えなくてはならないからだ。これは今回、思い知らされたことでもある。 さらに、
日本のように「原子力村」が根を張る国では、外の目が評価に欠かせない。気になるのは、この構想
に立地国がどこまで協力するかだ。同意を得たうえで進めるというが、原子力は国家技術の性格があ
るため、すんなり受け入れない国もあるかもしれない。まずは、日本政府がこの国際チームを率先し
て受け入れたらどうだろうか。 (819字)。

┏━━ 社説要約(読売新聞)━━━━━━━━
22日;(1)IAEA宣言 原発安全に福島の教訓生かせ
『IAEAの閣僚級会議で、IAEAの機能強化を柱とする閣僚宣言が採択された。東京電力福島第
一原子力発電所の事故を受け、宣言は、安全対策を検証する必要性を指摘した。国際社会の取り組み
について、原発の安全基準の見直しや、IAEAが専門家を派遣して各国の原発の安全性を評価する
新たな制度の導入を提案した。事故時には、迅速で継続的な情報提供が重要としたうえで、緊急対処
能力や訓練を強化していくべきだとも強調した。原発事故への不安は、世界各地に広がっている。I
AEAが原発の監視や、安全対策の強化に乗り出すのは当然のことだろう。日本政府は、IAEAに
全面的に協力しなければならない。国際的な原子力技術の向上に貢献する責任も重い。
 世界では原発75基が建設中で、さらに91基の新設計画がある。中国やインドなど原発推進の新
興国に続いて、中東やアジアの途上国も新規導入を計画している。しかし、原発に関する共通の安全
基準は確立していない。安全性を高めるとコストがかさむため、原発利用を本格化したい新興国では
、規制強化への反発が強い。IAEAは「核の番人」と言われるが、安全対策を国際的に徹底させる
のは容易でない。国際協調の重要性は一段と増している。事故時の国際救援体制の整備や、途上国に
対する原子力技術の支援なども求められる。原発を推進してきた日本は、主導的な役割を果たさねば
ならない。海江田経済産業相はIAEAの閣僚級会議で演説し、福島原発事故の経緯と収束への対応
を説明した。日本の取り組みに一定の理解が得られたとしても、事故を収束させねば、信頼回復は難
しい。国内では、定期検査で停止した原発の運転再開が急務になっている。電力不足が、経済成長と
これから本格化する復興の足を引っ張ってはならない。 政府は事故対応と安全性向上について理解
を得る努力を、国内外で粘り強く続ける必要がある。(780字)。

┏━━ 社説要約(日本経済新聞)━━━━━━
22日;(2)汚染水浄化へ知恵を集めよ
『東京電力の福島第1原子力発電所で、高濃度の放射性物質を含む汚染水の浄化が難航している。汚
染水の浄化は原子炉を安定して冷やすカギを握る。東電や政府は米仏の技術に頼るだけでなく、国内
の水処理プラント会社などが持つ技術やノウハウも最大限活用し、浄化装置の安定的な運転をできる
だけ早く実現すべきだ。福島原発では原子炉を冷やすため毎日500トンの真水を注ぎ、これが汚染水
となって漏れ出し建屋の地下などにたまり続けている。汚染水から放射性物質を除き、再び原子炉に
注水するのが浄化装置の役割だ。17日夜に運転開始にこぎつけたが、その5時間後、米キュリオン社
が放射性物質セシウムの吸着用に開発した装置が止まった。21日にも放射性物質を沈殿させる仏アレ
バ社の装置が一時停止した。汚染水の濃度が予想以上に高かったり、流量が多すぎたりしたことが原
因とされる。
 気になるのは、事故収束を左右する重要な技術でありながら、東電や政府が米仏の技術に頼り、国
内企業がもつ知恵やノウハウを総動員する態勢が見てとれないことだ。高濃度の放射性物質を含む水
の浄化は日本企業にとって経験が浅く、心臓部である吸着、除染装置で米仏の協力を仰ぐのはやむを
得ない。しかし、水処理システムでは本来、日本企業が世界的に高い技術力を誇ってきたはずだ。管
の最適な配置や流量の制御、運転管理などで技術力をもつ水処理専門のエンジニアリング会社も多い
。すでに協力している東芝や日立製作所に加え、これらのエンジニアリング会社に技術の提供を呼び
かけ、その知恵をもっと借りるべきだ。ここ数年、官民が結束して新興国など海外市場に水処理シス
テムを売り込む動きも強まっていた。これまでの経験を原発事故の収拾に役立て、技術力の高さを海
外に訴える発想があってもよい。(738字)。

┏━━ 社説要約(毎日新聞)━━━━━━━
22日;(2)世界の原発 安全へ規制の強化を
『IAEAは、これまで核兵器の拡散に目を光らせるお目付け役と位置づけられてきた。原発施設の安全
については強制力のある権限を持っていない。世界には米国、フランスを筆頭に全部で約440基の原
発がある。中国、インド、ベトナム、アラブ首長国連邦など途上国・資源国を中心に新設計画も数多
い。大事故がひとたび起きれば、その影響は甚大で、国内だけでなく世界に及ぶ。福島第1原発の事
故を教訓に、世界の原発の安全性を高めることが急務であり、国際的な対策を迅速に進めたい。閣僚
宣言には、事故防止策としてIAEAの役割の強化や、安全基準の見直しなどが盛り込まれた。天野提案
では、津波や地震、長期にわたる全電源喪失などを考慮し、安全基準を1年以内に見直すとしている
。自国の原発の危険と安全性の検証も宣言に盛り込まれた。天野提案のように国際的な専門家チーム
が抜き打ち的に調査を行うのは、客観的な安全確保のために重要な方策だろう。その際には強化され
た新たな安全基準で評価すべきだ。
 安全基準の強化への対応は各国の思惑により分かれる。原発輸出国のフランスやロシアは積極的だ
が、新たに原発の導入をめざす途上国は消極的な傾向があるようだ。安全基準が厳しくなれば、対策
強化による原発のコストがかさむ。途上国にとっては原発導入が難しくなる。先進国でも新設のハー
ドルは高くなるだろう。しかし、安全よりコストを優先させれば大惨事を招きかねない。国民や近隣
諸国の人々の命や健康、生活を脅かすだけでなく、事故対応や賠償のコストははかりしれない。IAEA
の安全基準は加盟国に順守を義務づけているものではない。しかし、国際的な法的枠組みを強化し、
規制に強制力を持たせることが必要ではないか。 閣僚宣言は福島第1原発の事故について日本と
IAEAが透明性のある包括的な評価を示すことを求めている。真摯に対応することは、事故を起こした
日本の義務である。(781 字)。

┏━━ 社説要約(産経新聞) ━━━━━━━
22日;(1)スパコン世界一 「快挙」を復興の原動力に
『日本の科学技術が世界トップの力を示した。理化学研究所と富士通が開発中の次世代スーパーコン
ピューター「京」が、世界のスパコン性能ランキングで第1位になったのだ。京は宮城、福島両県の
企業からも部品を供給されている。逆境下で世界一を達成した開発チームをたたえるとともに、「復
興の原動力」となることも期待したい。スパコンは現代の科学技術を支える基幹技術であり、その性
能は多様な産業分野の国際競争力に直結する。京は平成18年に、国の総合科学技術会議で「国家基幹
技術」の一つに指定された。現在はまだ開発の途中段階だが、毎秒8162兆回の計算を達成した。来年
度の完成時には、その名の通り毎秒1京回(1兆の1万倍)の計算速度が実現する。米国や中国との
国際競争は熾烈で、世界一は長く保持できそうもない見通しだという。だが、計算速度での世界一は
本質的な目標ではない。「最速スパコンで何ができるか」で真価が問われる。スパコンによる大規模
シミュレーションは、理論、実験と並んで現代の科学技術の柱だ。新薬や治療技術の開発につながる
生命科学、自動車や航空機の設計開発、地球や宇宙の成り立ちを探る天文物理など幅広い分野で新し
い世界を切り開く可能性を秘めている。地震や津波の高精度シミュレーションによる防災への貢献も
期待されよう。
 京の性能を最大限に生かすプロジェクトの一つが「生命体統合シミュレーションソフト」だ。京で
は、これまで不可能だった生命現象の丸ごとシミュレーションが可能になる。残念だったのは、蓮舫
行政刷新担当相の今回のコメントだ。一昨年秋の事業仕分けでの「2位じゃだめなのでしょうか」と
いう自らの発言について、反論した。前後の文脈がどうであれ、「事実上の凍結」という仕分け結果
を象徴する発言だったことは否定できない。科学技術のイノベーションには、高い志に支えられたN
O・1の目標が不可欠だ。(781字)。

┏━━身 辺 雑 記━━━━━━━━━━━
 6月21日(火)は、映画館に居た。8時半より18時半まで4本映画を観た。高校時代、大学時代映画三
昧の生活だった。高校時代は、土曜日の午後ぎゅうぎゅう詰めの洋画館で、立ったままで頑張った。
大学時代は、2周目の映画館で、3本立てをあさった。兎に角、映画館に通った。映画の最盛期であっ
た。あの大型スクリーンでサウンドの音響効果が好きだ。
映画は、映画館に足を運び画映画館で楽しむ。ENDingの暗闇の中で、今見た映画を反芻する。こ
の時間が素晴らしい。映画は映画館で見るに限る。映画は娯楽であり、楽しいものである。総合芸術
作品であら美しい。
社会人の空白期間を埋め戻したくなった。今後、映画を観る時間を増やしていきたい。(300字)。

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2011/06/16

シニアネット『おいおい』 第1022号

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シニアネット『おいおい』    第1022号  (2011年06月16日)
 
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━━━━━CONTENTS━━━━━━━━━ 
巻頭俳句 山口波津女は大阪市生まれ。山口誓子の妻。ホトトギスから「天浪」創刊、同人。
『知恵の輪』 菅総理よ。リーダーとして留まるなら、ドラッカーをお読みください。  
社説要約 イタリアの国民投票(朝日・読売・産経)。産業再生ファンド(日経)。国会(毎日)
身辺雑記  申請書の「職業欄」に、例えば「元会社員」とか、「エセイスト」は如何ですか。
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━━ 巻頭俳句 ━━━━━━━━━━━━━
 
上流は曲がりて見えず鮎の川      山口波津女(1906-1985)

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 昭和38年(1963)作。鮎は川魚の王様。鮎がすむ川は清流である。稚魚は川を下り海です。春になると若鮎としなって清流をさかのぼってくる。夏になると更に上る。秋になると川を下るって産卵する。
「曲がりて見えず」は、緑の中を清流が流れてゆく川の流れる様子が見える。「鮎の川」は、川を上がったり、くだったりする生態がうまく詠まれた。川を上下して過ごす長い鮎の旅路と一生を表現した。
 日々の暮らしを詠った句が多い。夫誓子の看護師のような献身的な看病と自らも病床に伏していた。「波津女の情愛の深さとやさしさ、素直かつ人柄に負うものだろう。」(『女性俳句の世界』より)。昭和60年6月17日、78歳で死去。
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┏━━『知恵の輪』━━━━━━━━━━━━
 菅総理大臣殿、ドラッカーの「マネジメント」を読んでいたださましたか。政治は完全に「閉塞した」。マネジメントとは、リーダーが戦略をたて組織を動かすことである。「戦略目標」を遂行する中で組織の全員と感動を共有する。「延命寺」からお遍路を再開したいとか。
 捨て身の政治家の「胆力」が、国を救う。自分の立場だけを追う総理は、1日も早く退陣願いたい。されど、後任が決まらない。2年前の総選挙で、民主党の政権を委託した国民の失敗である。リコール制度や国民投票が未整備あけに、問題は複雑である。

┏━━ドラッカー読んでいる人10%━━━━━━
 先週の「週刊ダイヤモンド」が、ドラッカーを特集した。昨年11月6日の復刻版と間違った。今回は、ファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井正代表取締役の談話が入った。それに、活用法が紹介された。『マネジメント』の解説がよくまとまった。
特集とは関係ない記事に、「ネット世論調査」の今週のテーマは「ドラッカー」。「知っているか」の質問に対して、知らないが56.8%。知っているが43.2%。「著作を読んだか」に対して11.9%が読んでいるに過ぎない。しかも、48.7%が「1冊」と答えた。小紙の愛読者は、賢明であるから、すでに多くの著作を読まれていると推察する。 

┏━━「次の総理」は「該当者なし」━━━━━━
 文藝春秋7月号の特集「次の総理」は誰か。識者68人が選んだ。こうした時に、空疎な感じを受ける。1位は石破茂 9票。2位安倍晋三 7票。3位が小沢一郎 6票。誰がやっても同じとか適材なし等、「ありませんが」 7票。 こうした企画自体が「意味不明」である。

┏━━ 社説要約(朝日新聞)━━━━━━━
15日;(1)原発と民意―決めよう、自分たちで
『原発再開の是非を問うイタリアの国民投票で、反対派が9割を超えた。 ドイツの2022年までの段階的閉鎖、スイスの34年までの廃炉に続き、欧州でまた「脱原発」の猛烈な民意が政治を突き動かした。では、日本はどうか。4月の福井や佐賀、6月の青森など、原発立地県での知事選が相次いだが、原発の存廃そのものを問う展開には見えなかった。「脱原発」票は行き先を探しあぐねているようだった。 国会の動きも理解しがたい。どの政党も太陽光や風力など自然エネルギーの普及に賛成なのに、自然エネルギーによる電気を電力会社が高く買い取る制度を導入する法案は、いまだに審議入りもできていない。これが、原発推進を国策としてきた日本政治の現状なのだ。
 振り返れば、官僚ら「原子力村」の仲間で政策をつくり、安全神話と補助金で地元住民の合意を取りつけてきた。民主、自民の2大政党とも推進派で、有権者が原発問題と向きあう機会が少なかったのも事実だ。 だが、いまや安全神話を信じる人は見あたらない。事故の被害は立地補助金が行き渡る自治体の範囲をはるかに超え、子や孫の世代にまで及びそうな現実も思い知らされている。私たちの将来を決める選択なのだから「お上任せ」「政治しだい」でいいはずがない。国民がみずからエネルギーを選び、結果の責任も引き受けていこう。 こんな民意が一気に集まり、うねり、各地で散発的に始まった「脱原発デモ」を全国一斉実施にまで拡大させている。
 かつてない規模で広がる「脱原発」の民意を、政党はどうくみ取れるのか。何より大事なのは、やっと声をあげ始めた私たち有権者がもっと議論を重ね、もっと発言していくことだ。国民投票は容易ではないが、原発の住民投票なら、新潟県巻町(現新潟市)などですでに経験がある。停止中の原発の再稼働を問う住民投票を周辺市町村も含めてやるのも一案だろう。 自分で将来を決めるために。 (782字)。

┏━━ 社説要約(読売新聞)━━━━━━━━━━
 16日;(2)イタリアの選択 欧州の原発依存は変わらない
『スイスやドイツに続いて、イタリアが「脱原発」の継続を選択した。欧州ではその一方で、原発大国フランスや英国のほか、フィンランド、スウェーデン、チェコ、ポーランドなど北欧、東欧諸国が原子力発電を推進している。原発を放棄できる背景には、近隣国の原発による電力を、送電網を通じて輸入できるという欧州ならではの事情がある。実態として欧州の原発依存は変わらない。イタリアの国民投票で原発の再導入を目指す政府の方針が、94%の反対で拒否された。ベルルスコーニ首相は「結果を受け入れる」と、原発との決別を約束した。代替エネルギー開発をどう進めていくのか、イタリア政府は早急に明らかにする責任があろう。
 イタリアは1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故後、国民投票で原発廃止の道を選び、90年には主要国で唯一、稼働原発のない国となっていた。
 だが、電力需要の15%を輸入に頼るうえ、総発電量の8割以上を占める火力発電の燃料の高騰で、産業用電気料金はフランスの約2倍になった。隣接諸国と結ぶ送電線の事故で大停電も経験した。
 イタリアでは過去10年間、先進国では例外的に、1人当たりの国内総生産(GDP)も労働生産性も低下した。財政赤字は膨らみ、経済は低迷している。将来、ユーロ圏経済の波乱要因になりかねないと指摘されている。 このため、原発4基を新設し、2020年までに稼働させる方針を掲げたのだが、福島第一原発の事故という逆風にさらされた。原発再開を起点にしたベルルスコーニ政権の成長戦略は抜本的な変更を迫られている。日本は震災からの復興に向け、自国のエネルギー戦略を再構築するとともに、欧州諸国のエネルギー政策も注視する必要がある。(719字)。

┏━━ 社説要約(日本経済新聞)━━━━━━
16日;(2)産業再編促す官民ファンドに
『液晶パネルメーカーの事業統合を官民ファンドの産業革新機構が後押しする検討を進めている。事業統合を検討しているのは東芝とソニーだ。携帯電話などに使う中小型パネルの事業を切り離し、新会社をつくる。革新機構は資本金の7割以上を出資する可能性がある。この分野は中長期的に有望だ。韓国などが強いテレビ用パネルと違い、日本は4割の世界シェアを持つ。指で触って操作するタッチパネル機能などが強みになっている。日本の競争力を支える技術を伸ばせるなら官主導で運営する革新機構も積極的に使いたい。液晶の次には画像がよりきれいな有機ELという次世代パネルの時代も来る。優位に戦うには開発や生産設備への大型投資が必要になり、収益力の衰えが目立つ国内電機大手には限界がある。
 産業革新機構は2009年に発足し、成長が見込める技術を持つベンチャー企業などを支援。最近では東芝が買収するスイスのスマートグリッド(次世代送電網)関連企業への出資を決めている。ただ期待したいのは企業の事業再編を進めやすくし、産業構造改革を促すことだ。革新機構は比較的長期の視点で投資先を育てることに主眼を置き、民間のファンドより柔軟に投資できる面がある。
 例えば今後は半導体業界の再編支援などはどうだろう。NECなど3社を母体にするルネサスエレクトロニクスが昨年生まれたが、車のエンジンなどを制御するマイコンで3割の世界シェアを握りながら業績が厳しい。非効率な生産設備が残っていることが大震災後に供給網の混乱を招く要因になったとも言われる。各社の強い分野を統合して米インテルのような強いメーカーをつくれないか。産業の地盤沈下を防ぐため早めに手を打ちたい。もちろん競争力のない分野に国の資金を入れ、市場から退くべき企業や事業を温存してはならない。投資先が技術革新のできる企業か説明を尽くす必要もある。(769字)。

┏━━ 社説要約(毎日新聞)━━━━━━
16日;(2)漂流する国会 「大幅延長」をどう生かす
『通常国会の22日の会期末を控え、会期の延長問題が山場にさしかかった。政府・与党は今年度予算の財源を手当てする特例公債法案や追加の2次補正予算案の処理などに向け、3カ月の大幅延長の調整に入った。大震災の被災地からの要望に即応し、原発事故に対処する観点からも大幅延長は当然の選択だ。ただ、自民党は菅直人首相の露骨な延命策として反発している。不毛な対立を避けるためにも、首相は自らに残された役割を具体的に説明しなければならない。ところが、結局は首相の下で追加補正予算編成を認める流れとなった。月内の退陣に強く抵抗する首相に対し、早期退陣派は後継代表や野党との協力体制などの展望を示しきれず押し切られたのが実態だろう。民主党が検討する「3カ月延長」が仮に実施されれば、通常国会としては相当の幅だ。そもそも「通年国会」も辞さずに国会が震災対応に総力を挙げる局面だ。首相の退陣問題と切り離し、大幅延長を実現すべきだ。野党もこの問題でいたずらに強硬戦術を取るべきではあるまい。
 一方でせっかく会期が延長されても、山積する課題に国会が迅速に対応できるかどうか、はなはだこころもとない。民主党の岡田克也幹事長は延長国会のいずれかの段階で首相が交代するのだと示唆する。だが、首相がそれに言質を与える気配は無く、復興対策を本格化するという3次補正予算案の担い手も事実上、不明である。  「首相がいつ辞めるか」に関心が集まり、与野党が政策に専念できない状況を一日も早く断ち切るべきだ。「二重ローン」、原発事故賠償など急を要する課題に速やかに手を打つためにも首相は「一定のめど」の中身を踏み込んで説明する責任がある。自民党も首相を「死に体」として一切協議を拒むかのような対応は現実的でない。首相と谷垣禎一自民党総裁の党首会談による混乱収拾もひとつの方法だろう。(764字)。

┏━━━ 社説要約(産経新聞) ━━━━━━━
15日;(1)伊も脱原発 日本から流れを変えよう
『イタリアの脱原発が決まった。原子力発電再開の是非を問う国民投票で反対票が圧倒的多数を獲得したためである。ドイツ、スイスの両国も、原発の順次閉鎖を決めたばかりだ。欧州全体でみれば、フランスや英国など原発堅持の国が多いとはいえ、東京電力福島第1原発の事故を引き金に欧州の一部で原発離れの潮流が勢いを増しつつある。各国の意思は尊重したいが、正しい選択なのだろうか。持続可能なエネルギー政策であるのかどうか冷静な見極めが必要だ。
 イタリアの事情はある面で、日本と似る。海に囲まれた地震火山国でエネルギー資源に乏しい。だから原子力発電の有用性に着目し、1960年代の半ばから商業発電を開始したが、86年のチェルノブイリ事故を受け、4基あった原発は90年までに閉鎖された。その後、原子力発電の再開などを公約に掲げて当選したのが、現在のベルルスコーニ首相である。イタリアの電力は、火力発電が80%を占めており、電力料金が高い。二酸化炭素の排出削減にも苦しんでいる。2003年には計画停電を余儀なくされもした。そんな状況下にあって、イタリアは再び「原発にサヨナラ」を告げた。そこが、外国からは電力を融通してもらうことができない、日本との決定的な差異である。
安全性を再確立して範を世界に垂れ、脱原発の流れを食い止めるのは、事故を起こした国として日本が国際社会に果たすべき責務であろう。にもかかわらず、日本国内の原発は事故機を含め3分の2が停止している。定期検査後も地元の了解が得られず、運転再開できない原発が増えているためだ。法的根拠を欠く運転不能は、国家の機能不全だ。菅直人首相と海江田万里経済産業相の傍観は許されない。原発立地県を行脚し、首長に運転同意を「要請」すべきである。
 このままだと、日本は、諸外国の目に脱原発路線と映る。それが第4、第5のドイツ、イタリアを生みかねない。脱原発の電力不足は火力発電に委ねられ、原油や天然ガスの価格高騰を招く。エネルギー不足とコスト高は日本経済、ひいては世界経済にも悪影響を与えかねないのである。

┏━━身 辺 雑 記━━━━━━━━━
  役所関係の申告書の「職業欄」に「無職」を記入してきた。政治家は、「元総理」とか「元代表」とか便利な用語がある。私たちは、「元会社役員」とか「元団体役員」とか「元教諭」と書いたらどうだろう。企業戦士として働いた証拠にもなる。薬にも毒にもならないことだが、精神的な安定は得られる。
 現在の職業は、「コラムニスト」とか「エッセイスト」も通用する。「作家」には作品が要るが、「写真家」も「画家」も「陶芸家」もプロらしく聞こえる。「旅行家」も好い。毎日大部分の時間を通やしている「趣味」をプロらしく表現したらよい。女性は「主婦」が世間で通用する。便利な表現がある。愛読者の皆さま、「エセイスト」は最短距離ですね。(300字)。

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2011/06/07

シニアネット 『おいおい』  第1020号

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シニアネット『おいおい』    第1020号  (2011年06月07日)
 
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━━━━━CONTENTS━━━━━━━ 
巻頭俳句  飯田龍太は山梨県笛吹市生まれ、生まれ育った境川村の句。父は飯田蛇笏。
社説要約 「大連立」を5紙が論じた。5様の論調に興味を引く。
身辺雑記  俳句の巨人、高浜虚子の生き方と死に方。俳句は生きる力だろうか。
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━━ 巻頭俳句 ━━━━━━━━━
 
六月の花さざめく水の上      飯田龍太(1920-2007)

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 「水の上」は、水草の花か藻の花が咲いている。「六月の花」は、花菖蒲をおもわせる。「さざめく」は、小さな花がささやきあって咲いている。彩でなく、「さざめく」という声としてとらえた。「さざめく水の上」は、梅雨の池の様子が、見事に表現された。
作者は、「北窓の風景」と言った。南窓の日当たり良い風景より、ひっそりとした家のたたずまい。わけても山々の襞に四季折々の刻を刻んでいると。心象を克明に表現しようとした。
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┏━━ 社 説 要 約 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
新たな政権の枠組みが語られ始めた。 民主党の岡田克也幹事長が、5日に「期限つきで自民党との大連立が望ましい。」と意向を表明した。自民党の石原伸晃幹事長も「新しい政治の枠組みをつくることが必要だ」と応じた。 たしかに、与野党のいがみ合いが続く国会は、もういいかげんにしてほしい。東日本大震災への対応をはじめ、速やかな政策の実現が、期待していいのだろうか。

┏━━ 社説要約(朝日新聞)━━━━━━━
7日;(1)大連立―何のためにやるのか
『 民主党はいま、政権をとったものの運営に行き詰まり、党内の対立も深刻化している。 国会で何らかの事態打開の方策が必要なことは、だれの目にも明らかだ。だから世論調査でも大連立容認が増えている。 しかし、直ちに大連立というのはちょっと待ってほしい。民主、自民両党は総選挙で政権をかけて戦った。それが一緒になったのでは、多くの小選挙区で、政権に批判的な票は行き場を失いかねない。2大政党の場合は、政策ごとに接点を探るのが本来の姿だ。民主主義の基本であり、その努力が足りないのは明らかだ。さらに民主、自民両党の思惑の違いが大きそうだ。 それぞれの党内で思い思いに発言している段階なので、はっきりした色分けはできないが、民主党からは税と社会保障の一体改革に取り組む意向もささやかれている。歴代政権が難渋してきた消費税増税を、連立で実現させようというわけだ。
 これに対し、自民党には早期の解散・総選挙をめざす声の方が目立つ。今年度の赤字国債の発行を認める特例公債法案や第2次補正予算案の成立までの短期を念頭に置いているようだ。連立を組んで、解散時期にも関与したいとの思いもにじむ。 連立を組んでしまえば、今よりも両党は法案づくりで折り合おうとするだろう。だが、いずれ選挙で戦う2大政党が閣内や与党内で争う愚を繰り返すこともありうる。いま両党がすべきは共同で実現したい政策を示しあうことだ。 そのためには、民主党はまず、子ども手当などのマニフェストの見直し論議を急がねばならない。党内を整理しなければ、そもそも連立の論議も進めようがないはずだ。 (658字)。

┏━━ 社説要約(読売新聞)━━━━━━━
7日;(1)大連立構想 救国内閣へ環境整備を急げ
『大連立による期限付きの救国内閣の実現に向けて、与野党は準備を急がなければならない。民主、自民両党の幹事長が、大連立を目指す考えで足並みをそろえた。菅首相の退陣表明によって、与野党連携の障害がなくなったためだ。日本の政治が機能を回復し、大きな転換期を迎えるという点で、この意義は大きい。衆参ねじれ国会の下、震災復興に機動的に取り組むには、民主党も自民党も単独では力不足だ。与野党は、10年先を見据え、社会保障と税の一体改革、日米同盟の深化、TPP参加といった重要政策を推進するため、強力な政治体制を作ることが必要だ。この大連立の機運を逃してはなるまい。
 大連立の実現までには、いくつかの課題がある。まず参加する政党の政策合意が不可欠である。それには、与党・民主党が大幅に譲歩すべきだ。政策面では、子ども手当、農家の戸別所得補償など、バラマキ政策を撤回し、政権公約を抜本的に見直すことが欠かせない。官僚を排除するだけの「政治主導」を改め、官僚を使いこなす体制を作ることも大切だ。事務次官会議を復活させ、政府と被災地の自治体とのパイプを再構築することも急ぐ必要がある。大連立には、一定の期限が必要だ。「救国」への基盤が整ったところで、大連立を解消し、衆院解散・総選挙で改めて民意を問うことが求められる。これら一連の課題をどう解決するのか、民主党はまず「工程表」を早く示す責任がある。そのためにも、菅首相は早期に退陣するのが筋だろう。第2次補正予算の編成は、財源問題が絡むだけに、より本格的な与野党協議が要る。「死に体」の菅首相が、ずるずると政権を運営することがあってはならない。(684字)。

┏━━ 社説要約(日本経済新聞)━━━━━
7日;(1)大連立協議は政策合意の中身が重要だ
『民主党と自民党を軸とした大連立樹立への機運が高まってきた。東日本大震災の復興をはじめ懸案の処理では与野党の協調が重要だ。首相の退陣表明をきっかけに、政策実現に向けた新たな枠組みづくりの機運が高まってきた点は評価できる。政治の今の最優先課題は、東日本大震災への迅速な取り組みである。震災対応の理念や組織を定めた復興基本法案はようやく成立のメドが立ったが、東京電力福島第1原子力発電所の事故を踏まえた原発賠償支援法案の調整は遅れている。被災地の本格復興に向けた今年度の第2次補正予算案も、本来なら与野党が全面協力すべき課題である。
 今年度予算の歳入の4割を手当てする赤字国債発行法案は、いまだに成立への道筋が描けていない。自民、公明両党は子ども手当、高速道路の無料化などを「バラマキ4K」と名づけ、予算の修正を審議に協力する前提としてきた。しかし厳しい財政事情の下で政策の見直しは避けられず、結論をいつまでも先送りする姿勢は許されない。社会保障と税の一体改革は、政党の垣根をこえて取り組むべき重要な課題といえる。菅政権と自民党の問題意識は重なる部分もあり、制度の効率化や消費税増税などで一致点を見いだす努力が不可欠である。
 民主、自民両党の連携には、菅首相の退陣時期や重要政策の扱い、協力の期限となる次期衆院選をいつに設定するかなど多くのハードルが存在する。協力のあり方も、政策ごとの部分連合や期限付きの大連立などいくつかの選択肢がある。日本の政治への国内外の視線は厳しさを増すばかりだ。大事なのはどういう政策を実現していくかという中身である。新たな政策調整の枠組みを早く構築してほしい。(690字)

┏━━ 社説要約(毎日新聞)━━━━━━
7日;(1)首相夏までに退陣 後継体制の議論も急げ
『菅直人首相の退陣時期問題をめぐる混乱が続いている。首相が夏をめどに辞任することで民主党執行部は収拾を図るが自民党は月内退陣を求めており、対立は解けていない。民主、自民両党からは首相退陣後、期限つきの大連立で協力を探る動きも出てきた。政治が復興・復旧に総力を挙げ得る体制はどんな形がふさわしいか。これ以上混乱を拡大しないためにも、与野党は議論を急がなければならない。退陣の意向を表明した以上、2次補正処理を「一定のめど」とすることは本来、常識的な線だった。今回の騒動で首相の「死に体」化が加速することは避けられない。肝心の2次補正はもちろん、特例公債法案の乗り切りも厳しさを増したと言わざるを得ない。
 首相の退陣を織り込んで「ポスト菅」をめぐる動きも始まっている。民主・岡田克也、自民・石原伸晃両幹事長は新首相の下で期限つきの大連立を実現することに前向きな考えを表明、枝野幸男官房長官も理解を示した。大連立が実現した場合、ある程度の期間経過後に衆院選を行うことも議論されている。
ハードルがかなり高いことも事実だ。自民は首相の月内退陣を協力の大前提としている。肝心の誰が次の首相になるかはもちろん、期間限定とはいえ社会保障・税制改革や予算編成の位置づけをどうするかも大きな問題だ。実効ある協力体制を柔軟に検討してほしい。 東北地方の梅雨入りを控え被災地の2次災害が警戒され、原発事故も汚染水の処理などが予断を許さない。当面の危機管理に支障を来さないことを与野党は行動の大原則に据えなければならない。(645字)。

┏━━ 社説要約(産経新聞) ━━━━━━
7日;(1)大連立構想 基本政策抜きなら談合だ
『民主、自民両党による「大連立」構想が拡大している。政権を共有する以上、日本をどうするかなどの基本政策で合意が必要だが、そのような合意の形成は可能なのか。政局が混乱を極めているのは、民主党がいまだに基本政策を曖昧にしていることが大きい。マニフェストの見直しについても、本気で動こうとしていない。党内の反対論を説得することすらしていない。外交・安全保障面も含めた政策の一致がなければ、日本丸のかじ取りを担えないことは自明だ。政策抜きの大連立構想は、共に閣僚ポストを得て、復興事業を仕切りたいという思惑や利害の一致を優先させているとしかみられまい。それでは「談合」と呼ぶしかない。
 この構想は、民主党の岡田克也幹事長と自民党の石原伸晃幹事長が、新たな協力態勢が必要との見解で足並みをそろえたことから、急速に広がりを見せている。復興や消費税増税を含む重要課題に、与野党が党派を超えて取り組み、国家や国民の利益の実現にあたるのは当然だが、まず民主党がまとまった対応ができるかどうかだろう。谷垣禎一・自民党総裁は1日の党首討論で「菅首相が辞めれば、党派を超えて団結する道はいくらでもできる」との見解を強調した。これも、基本政策を曖昧にしたままにしている民主党政権の本質的な問題を見据えていない。自民党が政権に参加しても、重要政策の実現は望めまい。
 基本政策をどうするかは、選挙を通じて民意を問い、決着させるべきだろう。政府は5月17日、東北3県で実施される地方選の前に、衆院選を行うこともできるとの答弁書を決定した。被災地を含め、できる限り早く国民の審判を仰ぐことこそ、優先されなければならない。(690字)。

┏━━身 辺 雑 記━━━━━━━━
 意外な符合を発見した。高浜虚子が、昭和23年(1948)に74歳でした。私は、平成23年(2011)に74歳。年齢差63歳。光栄ある符合である。近づけない高い山。山の登り口にも到着し出来無い私には関係ないことだろう。しかし、遠くに見える山の頂を山の下から眺めるのも悪くない。1合目に行けるかどうか難しいが、遠くに山の頂を見ることが出来るのは幸せ者だ。
 虚子は、昭和34年(1954)の4月8日に86歳の生涯を悠々と生き、鎌倉で永眠した。生涯現役だった。その生き方と死に方が見事だ。81歳の作、<明易や花鳥風詠南無阿弥陀>の句の如く、「俳句は花鳥風詠」であり「客観写生」を大方針とした。この基本姿勢を一生変えなかった。「花鳥風詠」を信仰と信じていた。『虚子にとって俳句本来の性質を説明した言葉たることから脱して、「極楽の文学」の教義、行、福音となっていたのだと考えられる。』(稲畑汀子『虚子百句』より)。(400字)。

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2011/06/01

シニアネット 『おいおい』 第1019号

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シニアネット『おいおい』    第1019号  (2011年06月01日)
 
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━━━━━CONTENTS━━━━━━━━━ 
巻頭俳句 高浜虚子の生家の池内家は、謡曲や和歌を嗜む家系。8歳の時、祖母の実家を継いだ。   
社説要約 朝日と産経―社会保障改革。読売=JRの火災事故。日経と毎日=災害復興会議。
身辺雑記 ボランテイアの「形骸化」は、リーダーの新陳代謝が必要である 
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━━ 巻頭俳句 ━━━━━━━━━━━━
 
百官の衣更へにし奈良の朝      高浜虚子(1874-1959)

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 6月1日は衣更。陰暦4月1日をもって衣服や室内調度などを夏ものに改めた。もともとは、宮中行事。帝の身辺のお世話をした「女御衣更」という役職からの言葉。貴族社会のしきたりが民間に広まった。今では地域の寒暖や個人の事情により衣更するようになった。日付けには厳密な意味がなくなった。陰暦4月は袷(あわせ)、5月から8月は帷子(かたびら)、9月袷という約束事。
 奈良時代の宮廷内の朝。すべての官吏が、一斉に衣更をした。「百官の」が効いている。「奈良の朝」は、衣更えした官吏が目の前に見える様だ。季節に応じて衣服を替える気分の爽快さが見える。奈良時代からの風景なのでしょうね。
 本日のテレビニュースによると、アロハシャツや半ズボンでの勤務風景が映像になっていた。ちょっと「超」が過ぎる様に見えるが、如何でしょうか。
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┏━━ 社説要約(朝日新聞)━━━━━━
1日;(1)社会保障改革―首相は使命を果たせ
『社会保障と税の一体改革を議論している政府の集中検討会議が大詰めを迎えている。2日には、社会保障改革案の全体像と費用推計が出る予定だ。ところが、菅直人首相の言動を見ると、まともな内容に仕上がるかどうか、心配になる。 5月23日の会議では、首相はリーダーシップを見せていた。(1)子育て支援サービスの増強と「幼保一体化」(2)パート労働者の厚生年金・健康保険への加入拡大(3)医療・介護、保育などの自己負担の合計に上限を設定することを「安心3本柱」とし、検討を求めた。「総理指示」は明快で具体的だった。 「次回は、効率化3本柱とも言える効率化・重点化の優先課題も提示したい」と約束した。
 これまで会議では、すべての患者の窓口負担に少額を上乗せして、重病患者の負担軽減に回すことや、年金の支給開始年齢の引き上げなど、様々な効率化・重点化策が議論されてきた。首相は、その中から優先課題を選んで3本柱にまとめ、帰国後の会議で示す。それを受けて、2日に改革の全体像をまとめる段取りだった。 ところが、30日、首相から効率化の指示はなかった。代わりに示された「支え合い3本柱」は「世代内・世代間の公平な支え合い」などあいまいで、具体策への言及もない。
 確かに今は、野党が与党内の造反を誘いながら、内閣不信任案の提出を探っている状況だ。高齢者や患者の負担増など、痛みを伴う不人気政策を口に出すタイミングではないと判断したのかもしれない。しかし、これは社会保障と税の一体改革なのだ。 30日の会議では、内閣府と財務省が、税率を2~3%幅ずつ引き上げるといった消費増税の道筋を示している。それなのに、社会保障改革の姿があいまいでは、必要な費用試算も説得力を持ちえないし、負担増への理解も広がるまい。 与謝野馨・経済財政相は、2日の最終案が出れば、厳しい話から首相が逃げたのではないかという「疑念は払拭(ふっしょく)される」と話した。ぜひ、そうあって欲しい。給付と負担を正面から問うのが、首相の歴史的使命だろう。(838字)。

┏━━ 社説要約(読売新聞)━━━━━━
1日;(1)JR特急火災 避難誘導の遅れは重大問題だ
『 焼け焦げた車両、脱出した乗客のすすだらけの顔。「煙に巻かれて死ぬのかと思った」という乗客の言葉通り、一歩間違えば大惨事だった。 トンネル内で起きた特急列車の炎上事故で、北海道警は31日、業務上過失傷害容疑でJR北海道を捜索した。国土交通省の運輸安全委員会も事故原因を調べている。エンジンの動力を車軸に伝える「推進軸」の周辺の部品が落下したため脱線が起き、何らかの火がディーゼル燃料に引火した可能性があるという。捜査当局には徹底した原因究明を進めてもらいたい。
 今回の事故では、乗客に対する避難誘導に大きな問題があった。乗客ら248人中39人が煙を吸うなどして病院で手当てを受けた。軽症で済んだのは、乗客が独自の判断で避難を始めたからだ。乗客は煙に巻かれながら、トンネルの出口まで500メートル近くを徒歩で逃げた。もしも出口がさらに遠く、幼児や体の不自由な人がいたらと考えるとぞっとする。車掌は停車の11分後、列車運行の指令センターに「避難したほうがいい」と訴えたが、センターは「車内に煙が入る。ドアを開けるのは待て」と指示したという。 さらに運転士が列車から降りて確認したが、炎は見えず、乗り合わせたJR社員も「火災は発生していない」と報告していた。火災は目で見て確認するというマニュアルが、結果的に避難誘導の妨げになったと言えよう。結局、センターが火災と認識したのは発生から2時間後で、乗客の避難が終わった後だった。
 火災時はトンネル内で停止しないことが鉄則だが、動けなくなった場合の手順は十分検討されていたのか。マニュアルの総点検が必要だ。その際、現場の判断を尊重することも忘れてはなるまい。JR北海道では、トンネル火災を想定した実地訓練が青函トンネル以外では行われていなかった。マニュアルは本来、訓練を通して見直されるべきものだ。北海道では近年、回送列車への衝突など、列車の運行を巡る事故やトラブルも相次いでいた。小さな事故が重なると大事故につながるという法則を、関係者は改めてかみしめてほしい。(848字)。

┏━━ 社説要約(日本経済新聞)━━━━
31日;(1)復興会議は特区制度の具体案を早急に
『政府の復興構想会議がこれまでに出された意見を列記した論点整理を公表した。第1次提言をまとめる6月末まであと1カ月。まずは大震災の被災地に限定して、規制緩和や税財政の優遇措置を適用する特区制度の具体化を急ぐべきだ。29日の会合で示された論点整理は5つの分野に分けて各委員の意見をまとめたものだ。総論的な指摘が多く、両論併記の項目も多い。構想会議のもとに設置した検討部会で細かな議論をしているが、あと1カ月で被災地の期待に応える内容になるのか、不安がぬぐえない。私たちは優先して議論すべき問題としてこれまで2点をあげてきた。住宅再建を柱とする被災地ごとの町の再生策と、農業や漁業を中心とする地域経済の立て直し策である。これらを強力に進めるうえで必要なのが特区制度の創設だ。被災地の状況をみれば、従来の規制や制度にとらわれていては復旧も復興も進まないことは明らかだろう。
 日本の土地利用は都市計画法や農業振興地域整備法、漁港漁場整備法など様々な法律で規制されている。地域を一体で再生するためには個別法の枠を超えた仕組みが要る。検討部会では法律ごとに煩雑な手続きを一本化することを検討している。ぜひ、実現してほしい。農業の規模を拡大するためにも従来の規制の見直しが必要だ。規制を緩めるだけでは十分ではない。住居を高台に移転しようと思っても、被災した市町村に財政面の余力はない。国が特例的に造成費などを負担するように求めるべきだ。工場の再建や企業立地を進めるためにも大胆な優遇措置が必要だろう。現在の漁業法を見直さない限り、漁業権の開放も幅広く民間資金を集めることもできない。特区制度としてとりあえず開放を可能にして、そこから後は、各地域が漁業者らと議論してどうするかを決めればいい。
 構想会議は6月末の提言で復興に必要な費用の目安や、国がどの程度を負担すべきなのかも示すべきだ。国の役割がはっきりしないと自治体は具体的な計画を策定できない。増税の可否も含めた財源の確保策も重要な論点ではあるが、最終的には政治が決定すべき事柄だろう。復興にかかる費用がわからなければ、財源論も前に進まない。(887字)。

┏━━ 社説要約(毎日新聞)━━━━━
1日;(2)復興構想会議 具体案を本気で急げ
『時間との闘いをもっと意識すべきだ。東日本大震災の復興プランを策定する菅直人首相の諮問機関「復興構想会議」が議論の経過を中間整理として公表した。五百旗頭真議長は被災地の産業復興に向け、規制緩和や税制などの特例を設ける特区制度を活用する方針を同時に表明した。具体的なメッセージを打ち出すタイミングが遅れるほど、現地の構想づくりを停滞させる懸念が増す。優先課題を絞り、第1次提言の取りまとめを急がねばならない。構想会議の検討部会は特区を地域限定の「オーダーメード型」とするイメージを示した。府省タテ割りの障壁を大胆に取り除いたメニューをそろえられるかどうかが問われる。一方で、水産業に民間参入を促す特区構想についてはすでに宮城県などで漁業関係者から反発が起きている。地元での合意形成の進め方も含めた議論が必要だろう。復興財源としての増税については中間整理で推進、慎重両論を記し明確な方向を示さなかった。ビジョンの提示が先決だ。
 重要なのはスピード感である。1次提言を6月末に設定したことも2次補正予算案の次期国会への先送り論を誘発した。たとえば、焦点のひとつである津波被災地の住民の高台地域への移住ではすでにいくつかの自治体で議論されている。だが、政府がどれだけ本気で後押しする決意があるかわからなくては、判断のしようがない。復興プランで重要な要素となる土地利用規制についても構想会議は明確な方向を示していない。議論に時間を費やし、現地の意欲に水を差すことがあってはならない。宮城県が地域に応じた防災対策や農業、漁業の集約、自然エネルギー開発など復興プランを急ぐ背景には国の動きを待てないいら立ちがある。このままでは1次提言が総花、抽象的な中身となる懸念がある。優先度の高い課題は方向性に加え、プランを具体的に示すことが肝心だ。
菅内閣の運営が不安定なだけに、構想会議の提言が本当に実現するか、被災地側も瀬踏みせざるを得まい。だからこそ立法、予算措置はできる限り、今国会で講じるべきだ。構想会議は22日の国会会期末までに提言をまとめ、会期延長による実現を政府に強く迫るべきである。(885字)。

━━ 社説要約(産経新聞) ━━━━━
1日;(1) 社会保障改革 抑制策逃げては本末転倒
『社会保障制度改革案には、制度として長続きしそうにない限界がうかがえる。懸案だった子育て支援などの若者向けサービスや低所得者対策などは強化された。支援を要する人への手当ては当然だが、いま問われているのは「高齢化で膨張し続ける年金、医療、介護費用の抑制」をどうするかだ。その道筋が明確に示されていない。
 社会保障費は毎年1兆円超のペースで膨らんでいる。基礎年金の国庫負担割合を2分の1にするための財源も捻出しなければならない。ところが今回の改革案だと、平成27年度には新たに約4兆円が必要になる。改革の方向が違っているのではないか。抑制策として、年収1千万円以上の高齢者の基礎年金減額、外来受診で窓口負担に加えて100円程度の定額負担、70~74歳の医療費窓口1割負担から2割への引き上げ-などが打ち出されているが、これらで削減できるのは約1・3兆円でしかない。
 政府・与党は不足分を消費税増税で賄う考えだ。段階的に10%まで引き上げるという。安定財源確保は必要だが、増税は無駄の徹底排除が前提であるはずだ。水ぶくれした制度のままでは、間を置かず今回の増税分では賄い切れなくなるだろう。これでは改革の先送りと変わらない。支え手が減る以上、救済すべき対象を絞り、支払い能力のある人には応分の負担を求める必要がある。社会の基本は「自助自立」との認識に立ち返りたい。
 菅直人首相の姿勢こそ問題だ。首相は5月30日の集中検討会議で、当初予定していた制度の効率化に関する具体的指示を急遽(きゅうきょ)、取り下げた。首相が覚悟を決めなくては、給付抑制に対する国民の理解は到底得られない。
 首相の方針転換について、政府・与党内では「内閣不信任決議案提出の動きが強まり、民主党内で『菅降ろし』の材料となるのを嫌った」との見方も出ている。事実ならば本末転倒だ。政権延命のため、政策がねじ曲げられることがあってはならない。改革の最終案づくりには、与野党協議が不可欠だ。そのためにも民主党はバラマキ政策に終止符を打ち、国民の痛みを伴う改革に向き合うべきだ。(861字)。

┏━━身 辺 雑 記━━━━━━
 ボランテイア活動を辞めてから、2カ月がたった。日常生活で、バランスをとりも戻して来た。ボランテイアの組織は、中に入る人には見えない論理がある。組織の外に出て見て、理解が出来る論理である。自然な組織でなく、かなり恣意的な「鎖国状態の組織」だ。悪い意味で、他の組織とか、組織外の個人には冷淡である。「独りよがり」なのだ。リーダーの新陳代謝が遅れて、新しい人の育成が出来ないから、加速的に陳腐化が進む。内部からは見えない。
 外圧がない限りは、組織の自己革新は進まない。マンネリは、組織の意識を形骸化する。時代の変革についていけない。リーダーの若返り以外には対策が見えない。古い世代のリーダーは引退しましょう。(300字)。

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