(社説)国際技能五輪大会
技能五輪
技能五輪国際大会は、ものづくりのオリンピックだ。1950年から、ほぼ2年に1度開かれている。今年は46の国と地域から、国内大会でメダルを取った選手たち820人あまりが参加する。 日本からは女性9人を含む51人が出場する。50近い職種で4日間、計22時間にわたって与えられた課題に挑む。 大会は、14日から静岡県沼津市で始まる。日本での開催は1970年の東京、85年の大阪以来、22年ぶりとなる。
機械製図、フライス盤、電子機器組み立て、建築大工、造園など50近い職種で競われる。一つの職種に出られる選手は各国から1人。22歳以下の若者だけに許された狭き門だ。
13日;読売社説(1)国際技能五輪 ものづくりの魅力を知る契機に
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20071112ig91.htm
『日立グループから7人、デンソーから6人、トヨタ自動車からは5人が出場する。地方の中小企業の従業員や専門学校の生徒もいる。日立やトヨタでは、選手には、いずれ製造現場の中核となる人材になってほしいと考えている。製品の量産段階になれば、ロボットなどの機械がやってくれるが、部品の開発や試作、不具合などのトラブル防止には、職人技ともいえる高度な技能が欠かせないのだという。
日本はものづくり大国として成長してきた。今後も高品質、高付加価値の技術や製品を生みだしていかなければ、国際競争に生き残れない。だが、現実にはそれが不安になるような状況もある。都市部を中心に工業高校の数が減っている。政府、経済界、教育界などが一体となって、若い人材の育成を考えていく必要がある。優れた技能の持ち主が、きちんと処遇され、敬意を表されるような社会にしていくことも大事だ。
14日;朝日社説(2)技能五輪―ものづくりの輝く社会を
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
『ものづくりは、人づくり。現場で精進する若者たちを、もっと応援したい。メダル大国の韓国では、国際大会でメダルを取った選手には60万円から120万円の報奨金が支給され、一流企業への就職なども斡旋される。日本では出場のための旅費さえ、友人や親類のカンパに頼る選手が少なくない。
進路に迷う若い人にも、会場を訪れてみることを勧めたい。競技は無料で見学できる。男性たちを打ち破り、左官の部の日本代表になった新潟市の堀美幸さん(20)は、高校生のとき兄が出場した国内大会を見て、自分も左官になろうと決めた。若者たちが同じ課題に取り組む様子に心をうたれたのだ。コテで自在に絵が描けるような左官が将来の目標だ。
今回は、障害のある人たちが技能を競う4年に1度の国際アビリンピックと同時に開催される。アビリンピックには29カ国・地域から約400人が参加する。障害のある人も、ない人も、ともに技術で輝く大会である。
毎日社説(2)技能五輪 ものづくりの魅力広めよう
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20071113ddm005070077000c.html
『ものづくりはなぜ重要なのか。大会の専門プロデューサーを務める廣瀬通孝・東京大教授(機械情報学)によると、ものづくりの現場で技能者が失敗を繰り返して実用化は図られる。「例えば研究開発者は車を走らせることばかり考えるが、実際に走らせてみてブレーキが必要と気づくのが技能者。双方がいて初めて使える技術になる」と。「ものづくりの世界は地味できついと敬遠される傾向が強いが、きらきら輝いている若者もたくさんいる。大会で『ものづくりのハンカチ王子』が出てきてほしい」と訴える。
大会が、ものづくりの魅力を存分に伝える機会になることを望みたい。2年前の技能五輪フィンランド大会。大工の部門に出場した20歳の日本人男性は一つ一つの作業に時間がかかり、作品を完成させることができずに悔し涙を流した。それでも、彼が削ったカンナくずはとても美しいと絶賛され、8位に入った。他国の選手たちがそのカンナくずを記念に持ち帰った。
今大会の総合プロデューサーで、その時の様子を見つめた残間里江子さんは「日本人のきめ細かさに会場の人たちも驚いていた。若者がものづくりに打ち込む姿は感動的」と振り返る。
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