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2007/05/04

【社説】 「日米同盟の変革」

日米「同盟の変革」
 「日米同盟の変革」は、重要なことである。新聞も4紙が取り上げたが、朝日は連休ボケか。ワシントンで2日(日本時間)に開かれた日米安全保障協議委員会(2プラス2)は共同発表「日米同盟の変革」で、日本に対する米国の「核の傘」を再確認した。21世紀も引き続き日米同盟の有効性を確保するには、日本が基地や資金を提供する代わりに米軍が日本の防衛を請け負うという、これまでの「日米安保条約の伝統的な役割」を脱し、米軍と自衛隊のより密接な協力を軸とした同盟の変革が重要だと強調している。
 日米同盟に変革を迫る決定的要因となったのは、昨年10月にライス国務長官は記者会見で、米国の「あらゆる抑止力」を約束している。今回は、「核及び非核の双方の打撃力及び防衛能力を含む」と、より詳細な表現で文書に明記した。北朝鮮の挑発は許さない、という日米両国の明確なメッセージと言える。米側には、日本国内の一部にくすぶる核保有論を抑える意図もあるのだろう。 具体的には、米軍再編の推進とともに、ミサイル防衛(MD)システムでの情報共有をはじめとする日米の協力強化や自衛隊の積極的な国際貢献を盛り込んだ。日本が大量破壊兵器による攻撃を受けた際、自衛隊と在日米軍が即応態勢をとれるよう「化学・生物・放射線・核(CBRN)防護作業部会」の設置を決めたのも画期的だ。

4日;読売社説(1)日米安保協議 「北」への抑止力を強化すべきだ http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070503ig90.htm
『 今回の合意を基に、北朝鮮に対する抑止力をより確実なものとしていかねばならない。北朝鮮に核を放棄させるには、アメとムチによる外交面の「対話と圧力」が必要だ。一方で、万一の暴発に備えて、軍事面の「抑止」の強化も欠かせない。ミサイル防衛(MD)については、迎撃ミサイル配備の一部前倒しや情報協力の拡大で合意した。北朝鮮が弾道ミサイルを発射すれば、約10分間で日本に到達する。自衛隊と米軍による海上・陸上発射型の迎撃ミサイルの効果的な運用には、情報を常時共有する必要がある。共同作戦計画の策定を急ぎ、日米の役割分担と協力態勢を明確にすることも重要だ。一連の作業を実施するには、日米の信頼関係が大前提となる。
 海上自衛隊のイージス艦の機密情報漏洩は、あってはならない事件だ。「軍事情報一般保全協定」(GSOMIA)締結の合意を踏まえ、防衛省は情報保全体制の強化に全力を挙げるべきだ。共同発表では、在日米軍再編を着実に実施する方針も確認した。普天間飛行場の代替施設を目標の2014年までに完成させることが、沖縄における再編の「成功の鍵」と位置づけている。ゲーツ米国防長官は、日米が合意したV字型滑走路案の修正に応じない考えを強調した。合意案の実現こそが、沖縄の基地負担の大幅な軽減を図る早道だ。日本政府は、地元自治体との調整を急がなければならない。
 共同発表には、イラクやアフガニスタンの復興への貢献や、豪州、インド、北大西洋条約機構(NATO)との協力強化が盛り込まれた。 強固な日米同盟を基盤としつつ、多国間の重層的な協力を追求する。そうした試みが、共同発表のうたった「同盟の変革」を促すことにつながる。

4日;産経社説(1)日米同盟の変革 安保政策の総点検を望む http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070504/shc070504001.htm
『 共同文書で、米国が核を含む「あらゆる種類の米国の軍事力」を抑止力とし、日本防衛に関与する方針を再確認したのも見逃せない。 北朝鮮の核実験後、日本国内では仮に北朝鮮が東京を核攻撃しても米国が核兵器で報復する可能性は薄いのではないか、という疑念が識者らから指摘された。米国内の一部からは日本の核武装を危惧(きぐ)する声も出始めていた。こうした両国内の懸念を払拭するため、米側は「核の傘」にあえて言及したとみられるが、結果的に対北朝鮮のみならず核保有国の中国に対しても強いメッセージになったといえる。
 しかし、課題は山積している。自衛隊と在日米軍の情報共有化が進めば、「保有するが行使できない」とされる集団的自衛権の憲法解釈見直しは避けて通れない。イージス艦の中枢情報といった軍事秘密が簡単に漏れ、逆に重要とも思えぬ情報を隠したがる防衛省の体質改善も急務だ。 「同盟の変革」を画餅に終わらせないためには、日本の安全保障政策を総点検する必要がある。

4日;毎日社説(2)安全保障政策 国民への情報提供が必要だ

 http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070504k0000m070141000c.html
『日米関係の根幹は安全保障面での信頼関係にある。たとえ多少のすきま風は吹いても不断の対話は欠かすべきでなかった。 今回の安保協議で、米国は核兵器をはじめあらゆる軍事力で日本を守ることを表明した。さらに日米は普天間飛行場の代替措置は修正せずに合意通りに進めることを確認した。先の日米首脳会談でうたった「かけがえのない同盟」を具体化する作業が行われたことは意味のあることだった。
 課題が残ったのは日米の情報共有の問題だ。久間防衛相は訪米中イージス艦に関する機密情報やインターネットを通じての情報流出について釈明に追われた。ゲーツ国防長官からは、日本の情報管理について「防衛省だけではなく日本政府全体の問題だ」と苦言を呈された。MD(ミサイル防衛)では米国の衛星情報と日本のイージス艦レーダー情報の交換など日米の情報共有は不可欠になる。このため情報共有のシステム作りのためのロードマップも作ることになった。米側は情報を提供するためには日本側の情報管理の徹底が必要だと主張してきた。この結果、米側が要求していた「軍事情報に関する一般保全協定(GSOMIA)」の締結が実質的に合意された。
 日本はこれまで日米相互防衛援助協定に基づいて、米国から提供された武器技術について秘密保全事項を定めてきた。 一般保全協定は米国と他国が軍事秘密情報を共有した際、その情報の第三国への漏えいを防止するための包括的な枠組みだ。秘密保護の対象も武器技術から戦術・戦略情報など広範囲に及ぶものだ。機密情報の管理は当然としても、一方で安保政策は情報公開による国民理解が前提であることを改めて確認しておきたい。ましてやMDは莫大(ばくだい)な費用を要し、実際にどれだけ迎撃できるか専門家の間でも意見が分かれている。政府は国会などを通じてできるだけ情報を提供し、国民の疑問に答える姿勢をとるべきだ。

4日;日経社説(1)日米間に多くの戦略的合意はできたが… http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20070503MS3M0300203052007.html
『日米共同発表は冒頭に2006年7月の北朝鮮によるミサイル発射、10月の核実験に言及し、それによって日米同盟の変革が重要だと明確に認識させたと指摘する。米側は日本防衛のために核の傘を提供する、拡大抑止の約束を再確認した。ミサイル防衛の強化は、このための共同作業の具体化でもある。当初の合意では03年に実現したはずの沖縄普天間基地の移設は、日米同盟の信頼関係にかかわる問題である。共同発表は、14年までの移設完了が在日米軍再編の「成功の鍵」と明記した。当面の北朝鮮情勢を考えただけでも、日本の安全のためには日米同盟の機能が従来に増して重要なのは、共同発表の指摘を待つまでもない。
 共同発表は日米同盟の運営上の問題にとどまらず、共通戦略目標を示し、広く世界をにらんだ内容になっている。日米同盟が戦略的関心を持つ地域が広がっている事実を意味する。そこでも、最初に触れたのは北朝鮮である。6カ国協議で合意した「初期段階の措置」を速やかに実施するよう促している。一方、北朝鮮に対する経済制裁については、国連安保理決議1718の迅速で完全な実施を達成するとも述べている。ここは北朝鮮に対するムチの部分だが、4月14日とされた初期段階の措置の期限が過ぎたままの現状に対し、新たな期限を設定するのは避けた。
 中国に関しては、05年2月の共同発表が「台湾海峡を巡る問題の対話を通じた平和的解決を促す」と書き、中国側の反発を招いた。今回はそれには触れていない。アフガニスタン、イランなどにも触れているが、日米同盟の機能が問われるのは何といっても目の前にある北朝鮮の核問題である。
 米国が拡大抑止を再確認し、日米がミサイル防衛強化に動くのは現状を考えれば当然だが、それが北の核保有の既成事実化を前提にするものであっては困る。日米首脳会談、2プラス2で、この点の温度差が埋まったのか。そこが明確でないと日米間に再びすきま風が吹く。

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