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2007/04/27

(社説) 集団的自衛権の検討

集団的自衛権に関する「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)が25日発足した。5月に初会合を開き、今秋に安倍晋三首相に報告書を提出するという。首相は就任直後に集団的自衛権の研究について言及しており、懇談会設置も首相の強い意向によるものだ。政府は集団的自衛権の行使は憲法上認められないという立場で、自衛隊の活動は厳しく制約されてきた。その制約があったからこそ戦後、日本は戦争に巻き込まれず平和を守ることができたという主張は根強い。 一方でこの制約は日米安保体制や国際貢献活動の上で、阻害要因になっているという指摘がある。 特に米同時多発テロや北朝鮮のミサイル発射・核実験などの国際情勢変化を受けて、日米の安全保障面での関係は深まってきた。有事における米国の支援を担保するには、日米はさらに双務的な関係であるべきだという意見もある。

27日;産経社説(1)集団的自衛権 真の同盟に向け検討急げ
  http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070427/shc070427000.htm
『日本の防衛に命をかけてあたっている米軍兵士が敵の攻撃を受けても、近くにいる自衛隊は助けられない。それで真の同盟と言えるのか。長年、提起されてきた問題に、ようやく答えを出す時が来そうだ。首相は、(1)国民の生命・財産を守るために日米同盟をより効果的に機能させる(2)PKO(国連平和維持活動)をはじめとする国際的活動への一層の貢献-という認識から、懇談会の設置を指示した。妥当な判断であり、「集団的自衛権の行使も含めて、憲法との整理をしていかなければならない」という明確な姿勢を首相が示していることも評価したい。懇談会では、米国を狙った弾道ミサイルをミサイル防衛システムで迎撃できるか、公海上で並走中の米軍艦船が攻撃された際に海上自衛隊が反撃できるかなど、具体的な事例を選んで検討を加えるという。PKOの活動中、他国軍が攻撃された場合の武器使用の問題も課題となる。
 まずは現行憲法下で問題点を整理し、答えを見つけることが懇談会の目的だが、これらは新憲法制定時にも押さえておくべき重要なテーマでもある。懇談会設置について「初めに結論ありき」といった指摘もあるが、一定の方向性を示した上での議論は、国民の関心を集めるうえで、むしろ歓迎すべきではないか。集団的自衛権の憲法解釈見直しには、与党内にも根強い慎重論がある。大切なのは、日米が同盟国として共に守りあう関係を確立することに、検討結果を役立てることだ。外交・安全保障政策にも責任を持つ与党は、そういう観点から政府と一緒にこの問題に向き合ってほしい。

27日;朝日社説(1)集団的自衛権―結論ありきの懇談会だ
 http://www.asahi.com/paper/editorial.html
『 これでは、初めに結論ありきの出来レースだとしか思えない。安倍首相が、集団的自衛権について研究するための私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を設置した。13人のメンバーを見渡せば、集団的自衛権の行使容認に前向きな意見の持ち主ばかりがずらりと並ぶ。この秋に出すという報告書には「行使を容認する」の文字が躍る――そんな場面が目に浮かぶようだ。
 安倍氏「軍事同盟は“血の同盟”だ。日本が外敵から攻撃を受ければ、アメリカの若者が血を流す。しかし今の憲法解釈では、日本の自衛隊はアメリカが攻撃されたときに血を流すことはない」  岡崎氏「解釈は裁判所が決めたわけでもないし、憲法に書いているわけでもない。単に、役人が言っただけだから、首相が『権利があるから行使できる』と国会で答弁すればいいんです」  ほかのメンバーにも同種の発言をしてきた人が目立つ。たとえば中西寛・京大教授は01年、参院の国際問題調査会に招かれ、こう述べている。 「集団的自衛権を行使しないという政府の解釈は、外国から見れば日本がエゴイスト、危険を避けて重要な安全保障問題にノータッチで、経済的利得だけを求めているととられかねない」 そんな見方も確かにあるだろう。しかし、わが国は集団的自衛権を持ってはいるが、その行使は憲法上、許されない。これが政府の一貫した見解だ。それを支持している有識者も少なくない。
 なのに、特定の考え方のメンバーだけを集め、わずか数カ月の議論で解釈変更をめざす。そんな強引で一方的なやり方がまかり通っていいはずがない。 難しい課題であればこそ、有識者の多様な意見に進んで耳を傾け、判断を誤らないようにする。国のリーダーにとって懇談会の効用はそれに尽きる。 今回の懇談会では、その意味をなさない。ただちに人選を見直すべきだ。 それとも首相は、自分の意見と異なる論者には知識がない、有識者とは認めない、とでも言うのだろうか。

26日;毎日社説(1)集団的自衛権 公正で開かれた議論を望む

http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070426k0000m070160000c.html
『 防衛省昇格に伴い海外での自衛隊の活動も本来任務に格上げされた。日本は国連安保理の常任理事国入りを目指しており、国際貢献活動を積極的に果たさなければならない立場にある。 懇談会はこれらの点を踏まえて、これまで憲法上認められないと解釈されたり、グレーゾーンであった分野について個別具体的に検討するという。 例えば、米国に向けて第三国から発射された弾道ミサイルを自衛隊のミサイル防衛(MD)システムで迎撃することができるか。国際平和協力活動で一緒に活動する他国の軍隊が攻撃された場合、駆けつけて援護できるか--などのケースだ。 私たちは時代の変化に合わせ集団的自衛権についても研究することは必要だと考える。ただし、初めに結論ありきの議論は避けなければならない。
 懇談会には、安倍首相に近く集団的自衛権の制約に疑問を投げかけるメンバーが顔をそろえている。塩崎恭久官房長官は「結論ありきは決してない」と強調している。そうならば懇談会の議論は国民に開かれたものであるべきだ。懇談会設置は首相の訪米直前に発表された。米国向けミサイルの迎撃問題などで米政府の要望に配慮する姿勢を見せたいという首相の意向の表れだろう。 ただこの問題は国内でも議論が深まっていない。 首相は憲法改正を政治目標に掲げ、参院選でも争点にする意向を示している。分かりにくいのは今回の集団的自衛権の研究と憲法改正との関係だ。憲法解釈の変更で済むのなら、憲法9条改正は不要になるのではないか。その点をていねいに説明してもらいたい。

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