(社説)日豪安保宣言の戦略的な意味
日豪安保宣言の戦略的な意味
安倍首相と来日中のオーストラリアのハワード首相が、「安全保障協力に関する日豪共同宣言」に署名した。日本が、同盟国である米国以外の国と包括的な安全保障の協力関係を構築するのは、他に例はない。
14日;読売社説(1)[日豪安保宣言]「東アジア安定の基盤の一つに」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070313ig90.htm
『日豪両国は、ともに市場経済の国だ。自由、民主主義、人権、法の支配などの価値観を共有する。それぞれ、米国と軍事的な同盟関係にある。安全保障面での日米豪3か国の協力関係の中で、比較的弱かった日豪の連携強化は、東アジアのみならず、広く国際社会の平和と安定に貢献するだろう。軍事的な同盟関係にない日豪両国は、安保協力と言っても、軍事的な共同行動は難しい。だが、日豪協力は既に、多くの実績を上げている。共同宣言は、国際平和活動や大量破壊兵器拡散阻止などのほか、テロ対策、海上・航空の安全確保など広範な分野での協力の強化をうたっている。具体的な行動計画も策定するという。
こうした協力関係の発展、深化が、地域の平和と安全につながる。今後の課題は、共同宣言に基づき、どう協力の実を上げるかだ。それには戦略的な対話の強化が必要だ。日豪両国は既に、外相、防衛相がそれぞれ対話を重ねている。今回の共同宣言はさらに、外務、防衛の担当閣僚の合同協議、いわゆる「2+2」の創設を明記した。日本が、米国以外の国と2+2を行うのは初めてだ。無論、豪州との経済関係の枠組みの一層の拡充強化も重要だ。日豪の戦略的関係の構築のために、日豪経済連携協定交渉を推進し、安全保障と経済という二つの安定した柱を築かねばならない。
14日;日経社説(2)戦略的意味深める日豪関係
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20070313MS3M1300113032007.html
『日豪両国は太平洋の南北にある広い意味の島国であり、国際情勢の安定を前提とする貿易立国を国是とする点で戦略的利益を共有する。安全保障関係ではイラクの自衛隊の活動を治安維持面でオーストラリア軍が支えたのをはじめ、スマトラ沖地震の際の津波被害の救援活動、反テロ、北朝鮮政策でも共同歩調をとっている。貿易構造は日本が自動車などを輸出し、石炭などエネルギー資源や牛肉を輸入する相互補完型であり、首脳会談では経済連携協定(EPA)の交渉開始を確認した。農業問題を克服し、円満な合意が早期になされるよう期待する。それが日豪の戦略関係の証左になるだけでなく、双方にとっての利益となるからだ。
オーストラリアの日本語学習者は38万人で韓国に次ぐ数である。2005年にオーストラリアを訪れた日本人は69万人、日本を訪れたオーストラリア人は20万人と人的往来も活発だ。日豪間の厚い関係を支えるのは、適度に遠く、適度に近い地理的関係も幸いしているのだろう。日豪間は時差をほとんど感じることなく互いに移動できるのも利点である。 日豪関係を単なる戦略関係と考えるのは実はさびしい。日豪は利害関係を離れても、太平洋を挟んだ親しい友人同士でありたい。
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