(社説)G7 リスク感覚
ドイツで9、10の両日開かれる先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で日本の最大の関心事は、為替問題だろう。 為替レートの有り様には個々の国の利害がからむ。特に対欧州では1ユーロが150円台後半と、対ドルよりさらに円安が進んでいる。
ドイツは今年のサミット(主要国首脳会議)の議長国でもあるが、自動車など日本と競合する産業が多く、競争上不利だとして産業界から円安の批判が強い。そのため、G7が声明を通じ為替相場の現況についてどう評価するのかが注目されている。
10日;毎日社説(2)G7 リスク感覚が鈍っていないか
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070210k0000m070146000c.html
『個別の通貨問題より、好調な経済にひそむリスクについての対応が、G7の主たるテーマだろう。好調が続くと、リスクに対する感覚が薄れてしまうのが人の常だ。そのひとつとして注視されているのがヘッジファンドの問題だ。先物など金融派生商品を使って元本の何倍もの取引を行っているのがヘッジファンドで、それが破たんすると、影響は広範囲に及ぶ。
メルケル独首相は6月のサミットの主要テーマとして、国際資本市場の透明性強化の必要性を挙げ、特にヘッジファンドへの監視強化を訴えている。リスクへの感覚については、機関投資家だけの問題ではない。円安は輸出産業にとって居心地がいい。しかし、過度な円安が続くと、その反動も大きくなる。円安と超低金利が新たなリスクを生んでいないか、見極める必要がある。また、リスクに対する感覚を磨く必要があるのは、個人についても言えることだ。円安の原因とされる円資金を外貨に換えて運用する「円キャリートレード」の主役は個人に移っている。超低金利を嫌い投資信託などを通じ、巨額の個人資金が高利回りをうたう外貨での運用に向かっている。しかし、潮目が変わり円高に振れると、損失が生じかねない。投信の販売窓口は郵便局やインターネットへと広がっているが、過度にリスクを負うことになっていないか、個人も注意が必要だ。
9日;産経社説(1)G7 円安リスク洗い出す好機
http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070209/shc070209001.htm
『輸出企業にとって円安は望ましい。価格面で国際競争力を高め、為替差益が企業収益を押し上げる。過去の円安局面では、日本製品から自国産業を守る姿勢を打ち出した米国も今回は冷静で、「居心地の良い円安」なのだ。過去最高水準の企業業績にもかかわらず日本株の動きが鈍いのは、売買益を得ても、ドルやユーロに交換するさいの目減りを嫌う海外投資家が敬遠しているためとの見方も強い。これらが悪循環を起こすと円からの資金逃避が加速しかねない。円安の背景には日銀の超低金利政策がある。景気回復を受けて連続利上げした欧米との金利差が広がった。低利の円で資金調達し、ユーロやドル建ての資産で運用して金利差をかせぐ「円キャリー取引」が増えたのだ。実際にG7が円安是正を打ち出したり、日銀の金融政策に注文をつけたりする可能性は低い。G7での議論は、居心地の良い円安、超低金利の抱えるリスクを洗い出す好機である。
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